ホストが飲食代を肩代わりする「売り掛け」で高額会計をした女性客が、返済のため風俗店勤務や売春を強いられる事例が後を絶たない。山下恵さん(27)=仮名=は名古屋市の繁華街・栄のホストクラブで負った借金を、海外で売春して返済する日々を送る。悪質ホストによる性的搾取の構図に取り込まれた可能性があり、両親は「ホストに利用されている被害者だと気付いてほしい。娘を取り戻したい」と悲痛な思いを抱く。
恵さんは新型コロナウイルス禍の2021年、交際相手との別れをきっかけに始めたマッチングアプリで、ホストの男性(28)と出会った。求めに応じて店に通い始めると、借金が数百万円以上に膨れ上がり、離れた実家にもカードローン返済の督促状が届き始めた。
勤め先を同年9月に退職し、デリバリーヘルス(派遣型風俗店)やメンズエステの仕事を掛け持つようになった。
それでも返済のめどは立たず、2年後には「ワーキングホリデーに行く」とオーストラリアに渡ったが、実際は売春が目的だった。