【ジュネーブ共同】感染症の世界的大流行(パンデミック)への備えや対応を定めた新たな国際ルール「パンデミック条約」の制定が16日、確実となった。世界保健機関(WHO)加盟国がスイス西部ジュネーブの交渉会合で同日、条約案に合意した。パンデミック対策に関する医薬品の技術移転促進などが柱。条約案は5月のWHO総会で採択される見通し。

 会合閉幕に際し、WHOのテドロス事務局長は「この合意は将来のパンデミックの脅威に対する世界の対応を改善する重要なステップだ」と述べた。WHOの国際条約の制定は、2003年採択の「たばこ規制枠組み条約」以来となる。

 パンデミック条約は、新型コロナウイルス禍での甚大な被害や経済の混乱を教訓として、WHOが新設を目標にしていた。WHOの発表によると、条約案は各国の保健システムの機能強化や病原体の情報共有といった感染症対策の国際協力の重要性を明記。感染症に関する医薬品製造の技術やノウハウの移転、世界中のサプライチェーン(供給網)の確立も目指す。