JR九州子会社のJR九州高速船のクイーンビートル浸水隠しで、福岡海上保安部が、厳罰化された海上運送法の安全確保命令違反容疑を初適用する方針を固めたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。9日にも前社長ら数人と、法人としての同社を書類送検する。同法は北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受け、2023年6月に罰則が強化された。
前社長らは、23年2月に起きたクイーンビートルの浸水対応を巡り、23年6月に国土交通省が出した安全確保命令に従わず、24年2月以降、新たな浸水を認識しながら隠蔽し、運航を続けた疑いが持たれている。
安全確保命令違反容疑の適用により、同社には最大1億円の罰金が科される可能性がある。
クイーンビートルを巡っては、昨年8月の国交省の監査で航海日誌の虚偽記載や、浸水を検知するセンサーの位置を上にずらす不正が発覚。国交省は9月、全国初となる管理者2人の解任命令と、2回目の安全確保命令を出した。
クイーンビートルは博多―韓国・釜山間を約3時間40分で結んでいた。