
信輪会の看護師らも授業 130時間の研修やり切る
高校や大学、専門学校などで福祉を学んで施設に就職した方にお話を伺うと、多かれ少なかれ「学校で習ったことと実際の現場は違うと思うことがある」と言います。こういったギャップを少しでも減らすには、実際の福祉の現場の協力が重要となってきます。岐阜市芥見南山の岐阜清流高等特別支援学校のサービス・コミュニケーション系列には福祉コースがあり、生徒は卒業後を見据え、130時間の受講が必要な介護職員初任者研修に挑戦したり、施設での実習をしたりしながら、必要な知識や技能の習得に励んでいます。

介護職員初任者研修は、地域の介護施設の介護職員や看護師らが講師を担当。本年度は2年生7人が受講し、今月中旬、全員に晴れて修了証明書が手渡されました。生徒からは「介護職員初任者研修を修了することができてうれしく思っています。これから責任をもって福祉の仕事を目指していきたい」などの声が聞かれます。
同市須賀の特別養護老人ホームるぴなすビラの看護師松永さんは同校の非常勤講師の一人。毎年、看取り段階の高齢者の心や体に関する講座を、2コマ3時間かけて指導しています。
ほとんどの生徒にとって、なかなか馴染みのない看取りの世界。松永さんが最初の授業で生徒たちに看取りのイメージについて聞いてみると、「死が近付くイメージ」「亡くなる人の様子を見守り、悔いのないようにすること」などの答えがあり、そこから話を膨らませ、看取りの定義や高齢者の終末期のプロセスなどを丁寧に教えていきました。
松永さんは「16、17歳の生徒が死を理解することはとても難しいこと。命を軽視してはだめ、死に対して怖がりすぎるのもだめというニュアンスを大切に説明しています。るぴなすビラの前は病院で20年働いていましたので、その体験談も織り交ぜ、理解の助けにしてもらえるようにしています」と話しています。
るぴなすビラを運営する信輪会の坂口さんは「私も初任者研修の一部を受け持っているのですが、生徒の皆さんが真面目に頑張っていることはしっかりと伝わってきています。特別支援学校卒業後、福祉施設に就職して長く勤めている方や、介護福祉士国家資格に合格した方もいると聞きます。介護の仲間を増やすためにも、地元の施設としてこれからも成長をサポートしていきたい」と話しています。