インタビューに応じるオーストラリアのモリソン前首相=27日、シドニー(共同)

 【シドニー共同】オーストラリアのモリソン前首相は、同国が原子力潜水艦導入を決断するに当たり、有事の際に台湾や沖縄県・尖閣諸島の周辺海域へ派遣することを視野に入れたと初めて明かした。オーストラリアの原潜保有は日本の安全保障にも貢献し、対中国の「抑止力」になると主張した。中国に圧力をかけるため、航続距離で圧倒的に優れる原潜を求めたことが明確になった。30日までにシドニーで共同通信のインタビューに答えた。

 モリソン氏は首相在任中、米英首脳と秘密裏に交渉。2021年9月、非核国オーストラリアに原潜を導入する米英豪の安保枠組みAUKUS(オーカス)創設を電撃的に発表し、フランスとの通常型潜水艦の共同開発計画を一方的に破棄した。

 27日のインタビューでモリソン氏は、台湾と尖閣は「潜在的な火種であり、紛争が起こり得る」と指摘。「必要であれば、それらの地域を含むどこへでも航行できる能力をわれわれは追い求めた」と述べた。

 モリソン氏は南半球のオーストラリアが台湾有事に関与するのは、「国益のためだ」と強調した。