手足が不自由で電動車いすを使う香川県の公立中3年の男子生徒(15)が、設備面などを理由に入学を断られた県内の私立高を腕試しで受験する際、交渉に当たった中学校長から「合格しても入学しない」との確約を求められていたことが30日、分かった。生徒と保護者は約束の上で1月に受験し、合格通知を受け取った。その後、公立高に合格した。

 文部科学省は改正障害者差別解消法に基づく対応指針で、正当な理由なく障害者だけに条件を付けるのは不当な差別に当たるとしており、保護者は不満を募らせている。

 中学校長は取材に「公立高の腕試しで受験することを私立高に示す意図があった。受験を認めてもらうためには致し方なかった」と話している。

 文科省の指針は、障害者との対話を通じて相互理解を深め、対応策を検討することを求める。指針を知らなかった保護者は、私立高と直接対話する機会がないまま、中学校長の求めに応じて約束していた。「一方的に我慢を強いられ、中学校長からも『受けさせてもらえて良かったね』という雰囲気を感じた」と振り返る。