国連の女性差別撤廃委員会で1月まで副委員長を務めた、亜細亜大の秋月弘子教授

 「世界の女性の憲法」と呼ばれる女性差別撤廃条約を、189の締約国が履行しているかどうかを審査する国連の女性差別撤廃委員会。1月まで副委員長を務めたのは、秋月弘子亜細亜大教授(65)だ。撤廃委は夫婦同姓を義務付ける日本の法制度を「差別的だ」と批判するが、選択的夫婦別姓を巡る国会の動きは鈍い。自身も同姓制度に不都合を感じてきたという秋月さん。「女性をないがしろにし続ければ、日本は世界から信頼を失う」と警鐘を鳴らす。

 「平和に貢献したい」と、国連開発計画で勤務した後、日本で国際法を研究。同じ学者の夫とは1993年に結婚した。慣れ親しんだ名字を変えるのは「正直いやだった」が、夫に男兄弟がなく、親戚付き合いを円滑にするため改姓を決断した。

 外務省からの打診を受け、2018年に撤廃委の委員に立候補し当選。秋月姓で選挙を勝ち抜いたのに、いざ就任が近づくと、国連から「旧姓は使えない」と指摘された。

 外務省に苦情を訴えると、国連が撤廃委の名札と名刺だけは旧姓表記を認めてくれた。それでも海外では不便が多かったという。