岐阜県は26日、西濃地域の事業所に勤務する16人が結核にかかる集団感染が発生した、と発表した。現時点で事業所外への感染拡大は確認されておらず、感染源となり得る発病者は適切な医療を受けているため、感染がさらに広がっていく可能性は低いとみられる。県内で結核の集団感染が確認されたのは2016年以来。

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 県感染症対策推進課によると、昨年9月ごろ、20代の男性が体重減少やせき、発熱、倦怠感などの症状を訴えて医療機関を受診。検査の結果、結核を発病していることが分かり、同10月1日に医療機関が県に発生届を提出した。

 男性の痰(たん)に結核菌が混じっており、せきで周囲に感染を広げている可能性が高かったため、西濃保健所が事業所の同僚178人を健診対象に選定。これまでに168人が受診し、15人が結核菌にかかっていることが判明した。うち1人は肺に病巣ができるなど既に発病していたが、痰に結核菌が混じるなど接触者を感染させるまでには至っていなかった。

 現時点で男性の感染源は不明で、県は感染経路の調査や原因究明を続ける。

 県によると、昨年に県内で新たに結核患者として登録された人は176人。人口10万人当たりの罹患(りかん)率は9・1人で、全国平均の8・1人を上回っている。結核は治療で必ず治る病気だが、早期発見や早期治療が重要で、県は「2週間以上の長引くせきがあるときは早めの受診を」と呼びかけている。