贋作と判断された油彩画「自転車乗り」(徳島県立近代美術館提供)

 徳島県立近代美術館は25日、所蔵の油彩画「自転車乗り」について、ドイツの有名贋作家ウォルフガング・ベルトラッキ氏による贋作と判断したと発表した。ベルリン州警察の情報提供による作家本人の供述などを根拠に判断した。

 同美術館によると、ベルリン州警察からの昨年8月の情報提供で、ベルトラッキ氏の共犯者としてドイツで実刑判決を受けた人物が同作品を競売にかけていたことが判明。ベルトラッキ氏が自叙伝で同作を自分の作品として紹介していたことなども判断材料とした。

 同美術館は科学調査を行う予定だが、調査結果で真贋が覆る可能性はないと判断して発表した。同作はフランスの画家ジャン・メッツァンジェが描いたとされていた。購入元の画商に対する損害賠償請求も視野に弁護士と対応を協議しているという。

 高知県も14日、県立美術館所蔵の油彩画でドイツの画家ハインリヒ・カンペンドンクが制作したとされていた「少女と白鳥」がベルトラッキ氏による贋作の可能性が高いと発表していた。