3日、石川県珠洲市の中心部と北部を結ぶ路線が再開した「すずバス」を運転する高橋幸司さん

 昨年元日の能登半島地震と9月の豪雨で大きな被害を受けた石川県珠洲市で今年3月、地域住民の移動を担うコミュニティーバスの一部路線が約半年ぶりに再開した。道路に被災の爪痕が残るほか、人口減で利用者や運転手が不足する中、運行状況は完全には回復していないが、新たに仮設住宅団地に立ち寄るなど、利便性向上にも取り組んでいる。

 珠洲市の「すずバス」は3月3日、中心部と北部を結ぶ路線が再開。地震後に区間を短縮して運行していたが、豪雨で再被災し運休を余儀なくされた。復旧が進み通行規制が解除され、平日3往復を運行している。

 再開当日は住民らが買い物や通勤などで利用した。路線沿いの仮設住宅で暮らす竹村ふじ子さん(69)は「生活が便利になり助かる。ありがたい」と笑みを浮かべた。

 バスは、地震による通行止め箇所を迂回して細い山道をゆっくり進み、豪雨で大きな被害を受けた市北部の大谷地区へ向かう。運転手の高橋幸司さん(64)は「地震からの復興の途中で豪雨があり、大変だった。住民の負担が軽くなればうれしい」と話した。