世界農業遺産に登録されている「能登の里山里海」の魅力を体験、学習するバスツアーが15日、石川県輪島市で開かれた。県内から30人が参加。昨年元日の能登半島地震で被災した曹洞宗の総持寺祖院を見学し、輪島塗の装飾技法「沈金」を体験した。2011年に登録され、日本海に面した急斜面の棚田や能登に残る製塩方法のほか、この地域の伝統文化や景観も対象となっている。
総持寺では高島弘成副監院(51)の案内で院内を巡り、被災状況を見て回った。高島副監院は、この日、梅が開花したことを引き合いに「時が流れ、さまざまな条件が整ってこそ花は咲く。焦らずに目の前の日々を積み重ねていく」と復興への思いを口にした。
ツアーでは、地元料理人が腕を振るう居酒屋で地元産の刺し身などを堪能したほか、地震による大規模火災後、市内の商業施設で開催している「出張輪島朝市」での買い物を楽しんだ。
金沢市から参加した同県珠洲市出身の70代女性は「昨年の地震が起こってから奥能登に来るのは初めて。ツアーが良いきっかけになった」と笑顔で話した。