少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。第11回は長良高校(岐阜市)。「 開拓者の気魄で勉学とスポーツにあたれ 礼儀正しくあれ」の校訓の下、進学率がほぼ100%の同校ですが、後藤周太郎校長(60)は「昔ながらの学校」と言います。昔ながらの学校だからこそ、バランスの取れた学校生活を送れると胸を張ります。キーワードは「文武両道」です。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
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―長良高校の特色は。
本校は近年増えてきた単位制ではなく、従来通りの学年制を採用している学校だ。単位制は進路希望に応じて自分だけの時間割で学ぶことができる制度。私は単位制の高校で長く教員を務めたことがあったため、本校に着任した当初、学年制でみな同じカリキュラムで授業を受けることに違和感があった。だが、2年を過ごすうちに、今では学校らしい学校だと逆に新鮮味を感じている。必要な教科だけやればいい、ではなく昔の学校のようにまんべんなく学ぶ。
今は専門性や自分の好きな分野を学ぶことを推奨する時代だと思う。学年制でまんべんなく学ぶ本校は古くさいかもしれない。だが、古くさいとも言える点が本校の特色。勉強に特化して偏差値の高い大学に行くだけが人生ではない。部活動をやったり学校行事に一生懸命取り組んだり、多くの人がイメージするバランスの取れた学校生活を送れる。本校はある意味、理想的な学校だと思う。
部活動にしてもそうだ。今、運動部の大会の上位は私学が占める時代。部活をやるのだったら強いところでしっかりやりたい、と思う生徒もいるだろう。だが、そうじゃない生徒もたくさんいる。プロになるわけではないが、サッカーが好き、野球が好きという生徒はたくさんいる。
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先日開かれた県高校新人大会準決勝で、サッカー部は全国大会常連の帝京大可児に3-2で逆転勝ちした。決勝で敗れて準優勝だったが優勝も狙えた。野球部は例年、夏の県大会の上位に食い込む。本年度は陸上競技部や水泳部、卓球部も東海大会に出場した。
文化系は吹奏楽部や放送部、演劇部が全国高校総合文化祭に出場。演劇部は優秀賞(文化庁長官賞)を受賞し、新国立劇場(東京都)で公演した。本校の生徒は9割が部活に3年間在籍する。本校のような県立の普通科高校が、特に運動系の県大会の上位に入ることは少ないと思う。
一時、長良高校は部活ばかりで勉強できない、という評判がたった時代もあったらしいが、今は両方、部活も勉強もしっかり取り組んで大学に行く。進学率はほぼ100%。文武両道は中途半端になるイメージがあるかもしれないが、本校は両方とも実践している。
―進学実績は。
2024年度入試は名古屋大、大阪大、東京外大など全体の4割弱に当たる134人が国公立大学に合格した(既卒生3人含む)。一番のポイントは岐阜・愛知県の地元国公立大学に51人が合格したこと。...