少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策について考えを聞きました。第10回は加茂高校(美濃加茂市)。可茂地域の進学校は2025年度入試から全日制課程の普通科と理数科の募集を停止し、単位制による全日制課程の文理探究科を新設します。「探究を柱とした進学型の普通科として、岐阜県を代表する高校を目指す」。森川賢二校長(60)に変わる加茂高校の展望を聞きました。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

加茂高校。メインの第1棟(右手奥)を建て替え工事中=美濃加茂市本郷町
 加茂高校 美濃加茂市本郷町。県立で1948年設立。2025年度から文理探究科(同280人)に学科を改編。現在の普通科(定員240人)と理数科(同40人)の在校生は25年度以降も各科の所属となる。

 ―加茂高校の特色は。

 本校は伝統校であり地域の拠点校だ。地元から愛される、信頼される学校でありたいと考えている。全国優勝を重ねるボート部が代表するように、文武両道が校風。その校風の下、誰一人取り残さない明るく活力ある学校を掲げている。個に応じた指導、教職員の働き方改革を全体として進めたいと考えている。

 来年度から文理探究科を設置する。学科の名前は変わるが、伝統を生かして今日的な課題に対応したい。文武両道の進学校。そうした伝統を生かしながらよりよい学校にしていきたい。

 少子化が進み、本校の生徒の中にも学力の幅がある。これまで幅広い学力層の中で、一部の層に合った指導を全体に提供してきたと思う。個に応じた指導をもっと弾力的に、一人一人に合った指導をしていくことが生徒のためになる。そこで探究的な学びが生きてくる。

 ―理数科は加茂高校の特徴の一つだった。

 理数科は成績も優秀でいい結果を残してきたが、定員割れが続いていた。早期の文系理系の分断、理数離れの影響があるのかもしれない。また、理数科の中にも文系、普通科の中にも理系がある。こうした矛盾を整理するために文理統合、そして探究的な学びを取り入れる。本校の文理探究科は探究を柱とした進学型の普通科だ。普通科改革が求められる中、探究を軸にした新しい普通科、という位置付けだ。

森川賢二校長

 現在は1週間のうち、3日間7時限がある。7時限授業を1日に制限し、時間の余裕をつくる。その時間で個に応じた指導をしたり、生徒は部活をしたり、探究の研究をする。生徒たちの興味関心に応じた深い学びができるように文理探究科を設置する。

 ―文理探究科の狙いは。

 自分で課題をみつけて学んでいくことが探究学習。これまで課題は与えられるものだったが、自ら問いを立て、調べたり考えたりすることで学びを深めていく。ゴールは「発表」することだ。本校の探究学習の柱は探究的思考力に加え、言語化能力の向上。今の社会では人に伝えるということが、仕事や生活に求められている。

 社会の変化は激しい。変化に対応していくためには自分で考えることが大切だ。これから社会に出てたくましく生きていくためには学び方、課題対応力を身につけていくべきだ。探究学習はそれを養う手段だと思う。

 本校はもともと理数科で理数探究という学習をしてきた。そういったモデルがすでにあるので、文系でも同じようにできると思う。教師や生徒に聞いても探究学習はおもしろい、という。私たちが学生のころは詰め込み型だったが、深く学ぶという点で探究学習は大切だと思う。

 普通科をベースにした探究科の設置は本校が県内では初、全国でも少ない。先例がないことに挑戦しているが、あくまで普通科であるのでまったく学科が変わるわけではない。

 ―探究学習で学力はどうなるのか。

 探究学習をすることで学力は上がる。...