昨年1月1日の能登半島地震で被災した企業が事業を再開していく過程を詳しく紹介した事例集が、中部経済産業局のウェブサイトで公開されている。「耐震固定など平時からの備えが効果を発揮した」「事業継続計画(BCP)は従業員全てが出勤できないことを前提に検討を」。こんな声や助言も豊富に掲載しており、大地震への備えとして全国の企業に参考になりそうだ。
事例集は、揺れの激しかった石川、富山県の自治体に工場を持つ16社に、中部経産局の職員が聞き取りして61ページにまとめた。多くの企業が重要性を指摘したのが、訓練や設備の耐震化といった事前の対策だ。富山県射水市の本社工場が被災したアイシン軽金属は、金型を集めて柵で囲って固定していたため、金型の被害はなかった。
震度7を記録した石川県志賀町に本社のある半導体製造の「石川サンケン」は3工場が被災。直後にメールなどで従業員の安否確認を始めたが、発生から3日たっても約2割の確認が取れないままだったという。