東京都が商店街で開いた高齢者向けのスマートフォン相談会=2021年

 パソコンやスマートフォンなどのデジタル技術を日常的に使う人は、老年期の認知機能障害リスクが半分以下だったとの研究を、米テキサス大などのチームが16日までに科学誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに発表した。平均68・7歳の計約41万人を追跡した過去の研究57件のデータをまとめて分析した。

 デジタル技術の長期利用を巡っては、漫然と画面を眺めたり、記憶や予定管理を機械に頼ったりすることで認知機能に悪影響が及ぶとの説があった。複雑な技術を駆使して頭を刺激し、ビデオ通話やメッセージ交換で人とつながることが、認知機能の維持に有利だったとの見方を示した。

 認知機能が落ちてきても服薬管理や道案内、お金の管理をアプリが担ったことで自立して生活し続けられ、認知症と診断されにくくなった可能性もあるという。

 分析対象は、電子メールやインターネットを使い始めた最初の世代が老年期にさしかかる2010年代以降に発表された研究。

 年齢や学歴、経済状態など認知症に関連する要因の影響を取り除いても、傾向は同じだった。