ナタリア・ベレゾフさんが住む3Dプリンター住宅=2月、ウクライナ・イルピン(共同)

 ロシア軍の攻撃で住宅の破壊が続くウクライナで、迅速な復興に向け初導入された3Dプリンター住宅が注目されている。工期を短縮し費用を抑制できる上、動員強化などで国内の人手不足が深刻な中、再建の手間を軽減できる新しい家として需要が高まっている。

 「友達を呼ぶと驚かれる。停電しても室温が下がらず助かる」とナタリア・ベレゾフさん(48)は何層ものコンクリートでできた自宅を案内した。首都キーウ近郊イルピンで、スタートアップ(新興企業)「UTU」が昨年7月に建てた第1号だ。寝室はシェルター仕様で壁は厚く、ドイツ企業と共同開発した強靱な素材が使われている。

 ベレゾフさんの旧宅は2022年3月上旬のミサイル攻撃で全壊。実家に身を寄せていて無事だったが、夫=当時(35)=は同年、東部で戦死。「思い出の詰まった家は失ったが、同じ場所に住めている。夫も空から見ているはず」。家は支援で寄贈され、娘や孫計5人で暮らしている。(イルピン共同)