自身のX(旧ツイッター)での投稿を巡り、アイヌ民族の女性が法務局に人権侵犯被害を申し立てたとする記事を掲載され、名誉を毀損されたとして、元総務省職員の本間奈々氏が朝日新聞社と北海道新聞社に各330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は15日、請求を棄却した。
本間氏は「アイヌ民族の人権侵犯をなす人物であるかのような印象を読者に与え、社会的評価を低下させた」と主張したが、布施雄士裁判長は「(女性から)人権救済申し立てを受けたことは真実」と認定。記事は本間氏の評価を一定程度低下させるとした上で、公共の利害に関するもので、専ら公益を図る目的で配信されており違法性は退けられると結論付けた。
判決によると、2社は昨年3月、投稿を巡りアイヌの女性歌手が札幌法務局に被害を申告し、受理されたことを公表したとの記事をサイトなどに掲載。法務局は同12月、人権侵犯の事実があったとまでは判断できないとの決定をした。
朝日新聞社広報部、北海道新聞社経営管理局はそれぞれ「当社の主張が認められたものと考えている」とのコメントを出した。