昭和初期以降に国策で旧満州(中国東北部)に入植した開拓団の歴史を伝える長野県阿智村の「満蒙開拓平和記念館」は12日、元開拓団員の子の世代が来場者と対話する新企画を始めた。戦争体験者が減少する中、歴史を受け継ぐ。初回は両親が団員だった男性が、戦争終結直後のソ連兵への性接待などを語った。
記念館は2013年の開館以来、元団員による定期講演を開いてきたが、高齢化により昨年12月で終了した。新企画「土曜セッション」は、団員の子や中国残留孤児の家族ら次世代が登壇する。
この日は、岐阜県の旧黒川村(現白川町)から中国吉林省に渡った団の「黒川分村遺族会」会長の藤井宏之さん(73)が担当。戦後、略奪から身を守るため、団員の未婚女性十数人をソ連兵に差し出し、性接待を強いた事実を語った。
元団員の両親は語らなかったが、遺族会で交流を深めた被害者の女性から「あなたの父が女性を呼び出し送り出す役目だった。訪ねてくるのが嫌だった」と伝えられたと、苦渋の表情で語った。
セッションは毎月第2土曜日に開かれる予定。