JR九州子会社のJR九州高速船のクイーンビートル浸水隠しで、福岡海上保安部は9日、海上運送法違反などの疑いで、JR九州高速船の田中渉前社長(56)ら8人と、法人としての同社を書類送検した。会社ぐるみで隠蔽を続けた経緯を悪質と判断し、北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受け、2023年6月に厳罰化された海上運送法の安全確保命令違反容疑を初適用した。
書類送検容疑は24年2月13日〜5月30日、船首部からの浸水を認知しながら、クイーンビートルを運航した疑い。
保安部によると、8人はいずれも容疑を認めている。「浸水を報告した場合、運航停止になる可能性が高く、キャンセル対応などで過剰な事務負担が生じることを懸念し、報告を行わなかった」などと供述している。
裁判で有罪が確定すれば同社には最大1億円の罰金が科される可能性がある。
JR九州は取材に「真摯に受け止め、引き続き捜査に協力してまいります」とコメントした。
クイーンビートルは博多―韓国・釜山間を約3時間40分で結んでいた。定員502人。