開かれた衆院本会議=8日午後

 サイバー攻撃に先手を打って被害を防ぐ「能動的サイバー防御」導入に向けた関連法案を採決する衆院本会議が8日、開かれ、自民、立憲民主両党などの賛成多数で可決された。政府が通信情報を平時から監視し、電気や鉄道などの基幹インフラ事業者が被害に遭った場合、政府への報告を義務付ける。攻撃元のサーバーに入り込み無害化する措置は警察や自衛隊が対処する。

 政府は、国内外で相次ぐサイバー攻撃が国民生活にもたらす影響を危惧、法整備を急いでいた。参院での審議を経て今国会中の成立を目指す。

 政府は、メール本文のようなコミュニケーションに関わる情報は監視の対象外としている。攻撃元のサーバーを無害化する措置はまず警察が担い、「特に高度で組織的かつ計画的な行為」には自衛隊が当たる。情報監視や無害化措置が適正かどうかをチェックするための第三者機関「サイバー通信情報監理委員会」を新設する。

 野党は、恣意的運営に懸念があるとし、憲法21条の「通信の秘密」尊重を明記する規定や、監理委による国会報告の具体的な項目を盛り込むよう求めた。