厚生労働省が7日公表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は、前年同月比1・2%減だった。マイナスは2カ月連続で、長引く物価高に賃上げが追いつかない状況だ。満額回答が相次いだ今春闘の結果が反映されるのは4月分以降になる見通し。
名目賃金に当たる現金給与総額は3・1%増の28万9562円で38カ月連続のプラス。ただ、統計に用いる消費者物価指数が4・3%上がり、実質賃金は差し引きでマイナスとなった。
実質賃金は2024年5月まで過去最長の26カ月連続マイナスを記録し、その後はボーナスが支給される夏と冬だけがプラス。通年でほぼプラスとなる状況に転じるかどうかについて、厚労省の担当者は「高い水準にある物価の動向次第だ」との見解を示した。
給与総額の内訳は、基本給を含む所定内給与が1・6%増、残業代などの所定外給与は2・2%増。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」は8617円と少額ながら、前年が少なかったため77・4%増となった。