北川英治監督のインタビュー最終回は、高校野球指導者としての立場に区切りをつけ、底辺拡大と高校野球発展のために挑む次なる挑戦についての熱い思いを聞いた。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 北川英治(きたがわ・えいじ) 1971年、各務原市生まれ。岐阜高で内野手、3年時に主将。慶応大に進み、岐阜高の先輩・後藤寿彦監督の下、東京六大学で活躍した。岐阜県で教員となり、高校野球指導者に。赴任2年目の1998年、長良を岐阜大会準優勝に導く。関商工に転任し、2011年に同校初の全国選手権出場を果たす。1回戦で如水館(広島)に延長13回の激戦の末、2―3でサヨナラ負け。翌12年も岐阜大会決勝に進んだが県岐阜商に1―2で惜敗。14年に母校の岐阜高校監督に就任し、日本最古の野球部である伝統校の再建に尽力し、24年に退任。25年4月から大垣西に転任。県高校野球のレベルアップに精力的に活動を続け、若手指導者の勉強会を長年開催。現在、岐阜県野球協議会傘下で、中学生対象の岐阜ジュニアベースボールアカデミーを主催し、底辺拡大に取り組む。

 ―今の高校野球をどう捉えていますか。

 北川 新基準バットになり、数年間は昔の木製バット時代の野球に近づくと思う。でも、低反発のバットでも飛ばすチームがそのうちでてきて、また、基準を見直すといったような、いたちごっこが続くと思う。

 金属バット導入から、その繰り返しになっているのが現実的な歴史。その変化の中ですべきことは、やはりバッテリーを含めた守備力。それをしっかり教えられるかどうかが指導者として重要だと考える。捕り方、さばき方、ポジション、連係、送球をしっかりと身に付けられる練習に重点を置いていかないと、それらのミスで負けることが多くなる。

 もちろん、データを分析して、こういう打球を打たせて、ここに飛ぶから備えるという部分を含めての事であるが。ヒットゾーンに落ちていた打球が低反発バットでは外野まで飛ばなくなっているので、分析能力は、より重要になってくる。

野球人口の底辺拡大に向けた中学生対象のアカデミニーの取り組みについて語る北川英治監督

 ―今後、高校野球のために何をすべきですか。

 北川 野球人口の裾野を広げることが絶対条件。今、私が取り組んでいるのが、中学生の野球指導。岐阜県野球協議会の傘下で、GIFU Jr.ベースボールアカデミーを立ち上げ、軟式野球を土日に指導している。

GIFU jr.ベースボールアカデミーのHPはこちらから(クリックでも移ります)

 現在、野球人口の減少と教員の働き方改革のあおりを受けて活動時間の制限など、中学生を取り巻く部活動環境の多くが著しく変化しているのが現状。そのため、「もっと野球をやりたい」「もっと野球をうまくなりたい」と意欲のある軟式野球部員が希望すれば参加できる場所と時間を提供している。

 場所は岐阜市の梅林中学校グラウンドをお借りし、参加者の金銭的な負担は保険や道具代の月額千円だけで、われわれは無報酬。1、2月は閉会にして3月から再開したが、昨年の7月下旬のスタート時は十数人しかいなかったのが、今現在、約60人近い登録がある。岐阜市のみならず、通うことが可能ならば、原則軟式野球部の選手であれば誰でも参加できる。...