中国の習近平指導部が北朝鮮の非核化を軸に日中韓3カ国の連携を強化するシナリオを描いていることが29日、分かった。トランプ米政権が孤立主義に傾く中、日韓に接近する「戦略的機会」が生じていると判断した。習国家主席の今年後半の訪韓も計画している。複数の中国関係筋が明らかにした。日米韓の同盟関係を切り崩し、米国のアジア太平洋地域への関与を弱める思惑がある。
北朝鮮は核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力を進めている。中朝関係筋によると、昨年10月に中国の王亜軍駐北朝鮮大使が一時帰国した。抗議の意思を示す狙いがあったといい、両国の溝は拡大。中国は北朝鮮の核開発に歯止めがかけられない現状に強い危機感を抱いている。
今年1月にトランプ政権が発足し、日韓を含む同盟国との協調が揺らぎ始めると、中国で日韓外交や朝鮮半島問題を担う政策立案者らの間で「日韓に接近する余地が生まれた」との認識が共有された。
日米韓の足並みを乱す戦略的機会を生かす策として北朝鮮問題を巡る連携を検討。政策立案者は「最も利害が一致する分野だ」と指摘した。