手足が不自由なため電動車いすを使う香川県の中学3年の男子生徒(15)が、志望した複数の私立高から設備面などを理由に入学を断られ、受験を断念していたことが29日、分かった。保護者は中学校長を通じて受け入れの可否を問い合わせたが、高校から面談の提案や直接説明を受ける機会はなかった。学校側の対応は障害者差別解消法の趣旨に反する可能性がある。
昨年4月施行の改正障害者差別解消法は、私立学校を含む全ての事業者に対し、ルールの柔軟な変更など「合理的な配慮」を義務付けた。文部科学省は対応指針で、代替措置などの解決策を検討するため、当事者と話し合う「建設的対話」を求めている。
文科省はこの生徒の事案を把握していないとしながら、取材に「何が必要な合理的配慮かは学校との対話で決めるものであり、当然直接意見を聞く場を設けるのが望ましい」としている。
複数の高校が取材に「問い合わせは受けたが、入学の打診があったとは認識していない」としており、生徒の進学希望が十分に伝わっていなかった恐れがある。