記者会見する旧統一教会の田中富広会長=27日、東京都千代田区

 東京地裁から解散を命じられた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が16年前、解散となった場合の財産の移転先として、友好関係がある北海道帯広市の宗教法人「天地正教」を指定していたことが29日分かった。25日の解散命令の決定内容から判明。宗教法人法に基づき2009年6月に決議していた。印鑑販売を巡る事件で、警視庁が旧統一教会の施設を家宅捜索した直後だった。

 当時、教団は「コンプライアンス宣言」を発表したが、並行して解散命令を受けることを想定し、財産の移転先を探っていたとみられる。

 解散命令に効力が生じると、財産の清算手続きが始まる。宗教法人法は、清算後に残った財産について、宗教法人内部の規則などに基づいて処分するよう定める。被害対策に取り組む弁護士らは、旧統一教会の残余財産が天地正教に移ると、清算後に新たに判明した被害の弁済につながらない上、天地正教を舞台に新たな被害が発生することを懸念している。

 旧統一教会の田中富広会長は27日の記者会見で決議を認めた上で、財産移転の動きを否定した。