新たに見つかった遠藤周作さんの冊子「メリノの歌」(長崎市遠藤周作文学館提供)

 長崎市は27日、「沈黙」や「海と毒薬」などで知られる作家の遠藤周作さん(1923〜96年)が、デビュー前に執筆した小説やエッセーを収めた未発表の自筆の冊子が見つかったと発表した。タイトルは「メリノの歌」。長崎市遠藤周作文学館の林田沙緒里学芸員は「みずみずしい感性で書かれており、その後の初期作品にもつながる原型だ」と述べた。

 冊子は計61ページで、慶応大の予科生だった44〜45年にかけ書かれた。ドイツの文豪ゲーテの詩を巡る文学青年2人の対話を描いた小説や、作家の堀辰雄さん(故人)の軽井沢の住宅を訪れた際のエピソードを記したエッセーなど全4章で構成。予科生時代の遠藤さんの写真も張られている。

 後書きには「狐狸庵亭主人敬白」と記載。林田学芸員によると、「狐狸庵」は62年ごろから名乗り始めた別名義として知られているといい「『狐狸庵』をいつから使っていたのかが分かる遠藤研究に有益な資料だ」と語った。

 冊子は文学館で開催中の企画展で4月1日から公開。内容の一部は、新潮社の「波」5月号に掲載予定だ。