金融庁出向中にインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反の罪に問われた元裁判官の佐藤壮一郎被告(32)に東京地裁は26日、「規範意識の欠落は甚だしい」として懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円、追徴金約1020万円などとする判決を言い渡した。
野村賢裁判官は、昨年4月に出向して株式公開買い付け(TOB)の書類審査などを担当した被告が、常習的にインサイダー取引をしたと認定。「金融庁による監督制度の信頼を大きく失墜させた」と断じた。執行猶予の理由として罪を認めた点を挙げた。
被告は初公判で「将来に不安があった」とし、老いていく両親らのために金銭的余裕を持ちたかったと動機を説明。検察側は懲役2年や罰金などを求刑していた。
判決によると、公表前のTOB情報を基に、昨年4月から9月までに「三益半導体工業」など10銘柄の計1万1800株を約950万円で買い付けた。
被告は2017年に24歳で司法試験に合格し、19年1月に大阪地裁判事補に任官。著名な民事裁判に携わったこともあった。