東京都足立区の病院で2016年、手術後の女性患者の胸をなめたとして準強制わいせつ罪に問われた医師の関根進さん(49)を無罪とした東京高裁の差し戻し控訴審判決に対し、東京高検は27日までに、上告を断念したと明らかにした。関根さんの無罪が確定する。判決は、麻酔からの覚醒時に起きた「せん妄」に伴い、女性が性的な幻覚を見た可能性を指摘していた。
12日の高裁判決は、精神医学などの専門家の知見を基に、女性が麻酔薬の影響を受けた可能性を認め、無罪とした一審東京地裁の判断を追認。女性の胸に付着した関根さんのDNAについて、警視庁科学捜査研究所(科捜研)による検査は正確とは言い切れず、胸をなめたと断定できないと結論付けた。
懲役2年の逆転有罪とした二審判決を最高裁が破棄し、審理を差し戻していた。
東京高検は「判決内容を十分に精査したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とのコメントを出した。