董郁玉氏(親族提供・共同)

 【北京共同】中国の裁判所が、「スパイ組織の代理人」の日本人外交官に情報を提供したなどとして、共産党系主要紙の幹部を務めた董郁玉氏にスパイ罪で実刑を言い渡した判決を巡り、金杉憲治駐中国大使が「日本の外交官はスパイではない」とする書簡を董氏の家族に送付していたことが23日、分かった。関係者が明らかにした。書簡は19日付。

 北京市の第2中級人民法院(地裁)は昨年11月、董氏に懲役7年の判決を言い渡した。関係者によると、判決では北京に駐在していた日本人外交官らの名前の一部を列挙し「スパイ組織の代理人」と指摘した上で、在中国日本大使館を「スパイ組織」と認定したという。

 金杉氏は書簡で、日本大使館は「スパイ組織ではない。日本の外交官と領事官もスパイ組織の代理人ではなく、正当な業務を行っている」と強調。中国人が大使館などとの交流を理由に「不利益を被っては、日中間の人的交流は大きな負の影響を受ける」と訴えた。

 董氏は2022年2月に北京で日本大使館員と会った直後に拘束され、23年3月にスパイ罪で起訴された。