東京・永田町の自民党本部の看板

 選択的夫婦別姓制度を巡る議論が活発化する中、自民党の支持基盤でもある保守派は反対姿勢を明確にする。拒む理由の根底にあるのは「日本の伝統的な家族観」へのこだわりだ。夫婦別姓の導入は家族の絆を弱め、一体性の象徴と位置付ける戸籍制度が解体されてしまうと危惧する。別姓推進派は「時代錯誤」と批判し、一致点は見いだせそうにない。

 日本の伝統的な家族観とは何か。国会内で12日に開かれた保守派の集会で、代表的な論客である百地章日本大名誉教授は「祖先を敬い、親を大切にする。家族が助け合い、子孫の繁栄を祈るという生命の連続性を重視する」と説明した。夫婦別姓が続けば家系の一体性は失われ、祖先が分からなくなると懸念する。

 集会には与野党の保守系議員も参加。自民の新藤義孝政調会長代行は「個人籍は全ての国民、国家社会の大枠に影響を与える。極めて注意深く見なければならない」と同調した。

 自民内の別姓導入推進派は冷ややかに受け止める。閣僚経験者は「世間の価値観は変わっているのに、感覚がずれている」と憤る。