【ジャカルタ共同】インドネシアのプラボウォ政権が国軍法改正による軍の権限拡大に乗り出した。現行法は約20年前、独裁政権崩壊後に民主化に向け軍の力を抑えるため制定された。プラボウォ大統領は軍出身。政府提出の改正法案は現役軍人の検察庁や海洋・水産省への出向を新たに許可する内容で、民主化の後退を招くと懸念が広がる。
現行法は、軍と関係の近い国防省や警察をはじめ計10省庁・機関への出向を例外的に認めている。改正法案はこれに5省庁・機関を加える。政府は11日、国会で国防を扱う委員会に法案を提出。審議は月内に本格化する見通しで、スピード可決する可能性もある。
1998年に崩壊したスハルト独裁政権は国軍が政治に関与し体制を支えた。プラボウォ氏は同政権下で出世した元陸軍エリートで、改正国軍法は当時へ逆行すると懸念されている。
ただ陸海軍から各省庁への出向は法律の枠を超えて広く行われている実態があり、有力紙コンパスによると、現行法が認めていない運輸省や農業省などでも現役将兵らが役職を兼務している。