三重大の研究チームは、ダウン症の原因となる過剰な染色体をゲノム編集で切断して除去することに人工多能性幹細胞(iPS細胞)の実験で成功したと発表した。除去率は最大でも4割だった。除去されないと高頻度で染色体の異常が起きるため、切らずに染色体を除去する技術の開発を目指すとしている。
ダウン症は、計23対の染色体のうち、21番目の染色体が通常の2本よりも1本多いために発症する。運動機能や知的な発達に遅れがあることが多く心疾患などを伴う場合もあるが、過剰な染色体を除去する技術はなかった。
チームは、ダウン症のある人の皮膚から細胞を採取し、3本ある21番染色体を1本ずつ削除した3種のiPS細胞を作製し、配列情報を解析。ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」で21番染色体を複数箇所で切断すると、最大37・5%の確率で狙った1本のみを除去でき、細胞の性質も正常になったという。
現在はダウン症のある人の平均寿命は60歳を超え、加齢で変化する病態や合併症への対応が必要とされている。