最大2・06倍の「1票の格差」を是正せず、人口比例に基づかない区割りで実施した昨年10月の衆院選は憲法違反だとして、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分各県の有権者が選挙無効を求めた訴訟の判決で福岡高裁(新谷晋司裁判長)は7日、「合憲」と判断し無効請求を棄却した。全国14の高裁・支部に計16件起こされた訴訟の最後の判決で、全て合憲の判断となった。
今後、最高裁が判断を示す見通し。
今回の衆院選は、人口比をより正確に反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」の導入で、小選挙区定数「10増10減」などを受けた新区割りで初めて実施。最高裁が合憲と判断した前回2021年衆院選の2・08倍から格差は縮小した。
昨年10月27日の投開票日時点で、議員1人当たりの有権者数は最少の鳥取1区と比べ、最多の北海道3区は2・06倍だった。
原告側は「2倍を超えている以上、違憲という判断以外は正当性がない」と主張。被告の各県選挙管理委員会側は「投票価値の平等に反する状態に至っていたとは言えない」として請求棄却を求めていた。