政府は7日、民事裁判の判決をデータベース化する新法案を閣議決定した。年間約20万件ある民事訴訟と行政訴訟の情報を、氏名などを伏せた状態で閲覧できるようになる。膨大な裁判事例の分析が可能となり、紛争の早期解決や研究促進に役立つことが期待される。公布から2年以内に施行する。
民事裁判のIT化を進める改正民事訴訟法が2026年5月までに全面施行となり、判決が電子化される。政府はこれを活用する形でのデータベース運用を想定。法務省によると、現在も裁判所のウェブサイトや民間の判例雑誌などで裁判例は紹介されているが、全体の数%だけだった。
新法案では、裁判所から取得した裁判情報を管理する「指定法人」を公募で選定。指定法人が個人の特定につながる情報の匿名化処理をした上で、判例データベース業者などに有償提供する。こうした業者のサービスを通じ、広く一般社会での活用も見込んでいる。
指定法人は営利を目的としない一般社団法人や一般財団法人を想定。個人情報の不適切な取り扱いなどを防ぐため、国の監督権限も明記した。