再審初公判で、名古屋高裁金沢支部に向かう前川彰司さん(中央)=6日午後、金沢市
 前川彰司さんの再審初公判が開かれた名古屋高裁金沢支部の法廷=6日午後

 「そもそも起訴すべき案件ではなかった。検察は判断を最初から誤っていた」。こう話した前川彰司さん(59)は3秒間、手を震わせ険しい表情で検察官と目を合わせた―。再審初公判の意見陳述で、「抗議の沈黙」の時間が法廷に流れた。

 刈り込まれた短髪に黒のスーツ、白い小紋柄のネクタイで入廷。検察官が改めて有罪を主張しても、前川さんは終始無表情で手元の資料に視線を落とし、時折ペンでメモを取っていた。

 前川さんが意見陳述を始めると、検察官は硬い表情で初めてその様子を見つめた。検察の誤りを前川さんが訴えると、両者はにらみ合いに。閉廷後、前川さんは「抗議の思いだった」と説明した。