草野耕一氏

 福島第1原発事故における東京電力旧経営陣の刑事責任を否定した最高裁決定で、弁護士出身の草野耕一裁判官は、別の起訴内容を構成する余地があったとする異例の補足意見を付けた。「贅言(無駄な言葉)のそしりを免れないかもしれない」としつつ「未曽有の惨事に思いを致すならば、同様の悲劇が繰り返されることのないよう腐心することは最高裁判事の職責だ」と強調した。21日に定年退官する予定。

 草野裁判官は、東電は国の地震予測「長期評価」を基にした試算で、最大15・7mの津波が来ると伝えられながら、国への報告を2年10カ月以上怠り、津波襲来4日前になって伝えたと指摘。これを過失行為として捉えた。