「避難者に順位づけを無意識にしていないか」「本人の力を奪わないように、本人ができることは大切にする」「体験の違いで当事者間の分断が生まれないよう見守る」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の避難者らでつくる当事者団体「ヒラエス」が3・11の経験を次の災害に生かそうと、北海道や沖縄など8都道府県で避難者の声を集め、被災者支援のための指針を練り上げた。
ヒラエス共同代表の澤上幸子さん(49)は「避難者が語れずにいた思いを代弁しようと取り組んだ。支援者が悩んだ時に戻れる場所にもなっている」と話す。能登半島地震の被災者支援にも役立てている。
指針は場面ごとに支援者が取るべき具体的な行動を示した「災害ケースまでいジメント」。丁寧にという意味を表す東北地方の方言「までい」にちなんだ。「ふるさととのつながりを感じるイベントを開催する」といった支援策のほか「怒りやわがままのような表現でニーズを訴えることがある」「時間を経ても(決断に)『ゆらぎ』や『迷い』は生じる場合がある」と被災者の心の動きにも触れている。