川に下水を流す緊急放流の様子=2月、埼玉県春日部市

 埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県は3日夜、下水を川へ流す緊急放流を終了した。陥没の穴に流れ込む下水量を減らすため、1月29日深夜に開始し、1カ月余り続いた。県は終了の理由について、現場上流のマンホールから排水ポンプで吸い上げた下水を下流側に流すなど複数の対策で、下水を減らすめどがたったためだとしている。

 県によると、下水の緊急放流は異例で、東日本大震災の際にも実施されたという。川の環境悪化を防ぐため、県は放流地点の上流から希釈の水を流し、水質検査を続けてきた。こうした対応は当面継続する予定。

 緊急放流は、現場上流にある同県春日部市のポンプ場から、下水を塩素で消毒した上で近くの川に流した。放流後、付近で魚が死んでいるのが見つかり、周辺住民が異臭を訴えるなど影響を懸念する声が上がっていた。

 事故は1月28日に発生。トラックの男性運転手(74)は下水道管内で見つかった運転席部分に取り残されている可能性があり、捜索活動が続いている。