東日本大震災の被災地で、語り部の話を聞きに来たり、震災遺構を訪れたりする人の数が減少に転じている。公益社団法人「3・11メモリアルネットワーク」(宮城県石巻市)の調査によると、2024年に語り部などの震災学習プログラムを利用したのは17万7千人で、前年比5・9%減。震災遺構などの伝承施設は3・3%減の151万4千人だった。減少の要因を尋ねると、震災伝承への関心低下が最も多く挙がった。
震災発生から11日で14年。来訪者の対価収入(語り部料金など)を主な財源とする伝承団体も多く、懸念の声が広がる。風化を防ぎ、震災の教訓を次の災害の備えとするため、伝承活動の継続に向けた取り組みが求められそうだ。
調査は1〜2月に実施し岩手、宮城、福島3県にある31の語り部などの団体と33伝承施設が回答した。語り部活動への来訪者は、13年のピーク時に比べ30%以上減った。伝承施設は施設数が年々増え、新型コロナウイルス禍を除き増加傾向が続いたが、下落に転じた。