少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。第3回は池田高校(池田町)の鈴木彰校長(62)。5人に1人が看護・医療系に進学する一方、六つのコースを設けて幅広く柔軟に進路を選んでいけるのが特徴といいます。力を入れているのが「池田de探究」。どんな授業なのでしょうか。

池田高校。探究の授業に力を入れている=池田町六之井
 池田高校 1984年に開校した県立の普通科高校。現在、各学年4クラス編成。2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)に「ユネスコスクール」に認定された。

 ―池田高校の特徴は。

 本校は令和4年度から単位制高校となった。2年次に6コースに分かれる。▷自然科学▷人文科学▷国際理解▷看護・医療▷保育・福祉▷アート・情報の6コースだ。自然科学は物理学や生物学、応用化学などを学ぶ。人文科学は法学や経済学、日本文学、アート・情報は音楽や美術、情報学を目指す内容となっている。それぞれ生徒が将来の進路を想定し、自分のキャリアを考えて選択する。2年生から選択の科目が増えていく。

 ―特に力を入れている分野は。

 今回紹介するのは単位制と探究の授業だ。本校では「池田de探究」と銘打って力を入れている。池田という地域「を」探究するのではなく、池田「で」探究するということを強く意識している。地域で探究したことは岐阜県全体での普遍性があり、そこから日本全体の課題や対策について考えることができる。小中学校では地域「を」探究することになるが、高校では地域「で」探究することで、普遍的な問題として捉えていけるようにしたい。

鈴木彰校長=同

 ―具体的には。

 探究の授業では地元の池田町や神戸町と連携している。今年はそれぞれの町役場から生徒にミッションを生徒に出してもらっている。池田町からは「若者が訪れる池田温泉にするにはどうすればいいか」「若者のお茶離れをなんとかしたい」といったミッションを受けている。神戸町からは「(日吉神社の例大祭)神戸山王まつりの担い手不足解消」「神戸山王まつりの観光客数増加」などについて。10月には池田町長を招いて講演会を開いた。

 ―特に特徴的だった取り組みは。

 岐阜大学などが主催する「第5回ぎふビジネスアイデア・プレゼンテーション 高校の部」(2024年2月実施)では、本校の生徒3人が考えたアイデアが2位に当たる準グランプリを受賞した。

 スーパーではセルフレジが増えているが、使うのが苦手なお年寄りがいる。そうしたお年寄りを助けるアイデアプランをプレゼンし、高く評価された。感心したのは、生徒がお年寄りに実際にインタビューをしてアイデアを練ったことだ。参加した生徒のうち1人は国立大学に合格した。探究していく力は大学でも求められているので、それが探究の授業で鍛えられる。...