「野球はディフェンスのスポーツ」。

 そう語る今春、母校中京監督に就任した元巨人の藤本貴久監督による改革が着々と進み、夏を迎える。4、5人の投手による継投、守備力重視、三盗も絡めた次の塁を狙う意識向上と低く強い打球による得点。プロはもちろん、小中クラブ監督、社会人コーチなど幅広い野球経験を生かし、格段にチーム力を増した強豪が5年ぶりの聖地に照準を見定める。

■桑田・日高を軸に継投確立で課題の投手力克服

 藤本監督は高校2年の選抜に5番ライトで甲子園に出場。投手としてプロのスカウトから注目を浴びていた。

 だが、3年の夏の大会前に正捕手のけがで、急きょ、捕手にコンバート。捕手としてドラフト外で巨人に入団した。

 「選手の動かし方、ゲームのつくり方など野球を深く学び、追求することができた」と捕手転向が指導者としての自らの野球観の原点となった。

主将三浦暖都(右)に打撃指導する藤本貴久監督

 「投手力の強化」を母校再建の根幹に据える藤本監督はまず「厳しいコースを狙って四球に出すより、積極的にストライクを取りにいく」ことにバッテリーの意識を改革。さらに短いイニングで投手をつなぐプロ野球ばりの分業制による継投をつくり上げてきた。

 この方針で能力を存分に発揮できるようになることが期待されるのが今春までのエース桑田剛心だ。...