第76回秋季東海地区高校野球大会第2日は22日、長良川球場などで準々決勝4試合を行った。岐阜第一(岐阜1位)は豊川(愛知2位)に3-13、県岐阜商(岐阜2位)は藤枝明誠(静岡1位)に3-6、中京(岐阜3位)は宇治山田商(三重1位)に6-10でいずれも敗れ、4強入りはならなかった。来春の選抜大会の東海枠は3枠で、県勢の出場は絶望的となった。
岐阜第一は五回に失策が絡んで8失点し、コールド負け。県岐阜商は好機であと一本が出ず競り負けた。中京は八回に1点差に迫ったが九回に突き放された。
この他、愛工大名電(愛知1位)は7-4で日大三島(静岡3位)に勝利した。第3日は28日、長良川球場で準決勝の藤枝明誠×愛工大名電、豊川×宇治山田商を行う。
▽準々決勝
藤枝明誠(静岡1位)
010310100=6
001200000=3
県岐阜商(岐阜2位)
▽三塁打 平口(藤)寺前(県)▽二塁打 皆川2、梶田(藤)
岐阜第一(岐阜1位)
10110=3
21208x=13
豊川(愛知2位)
(五回コールド)
▽二塁打 高橋2、モイセエフ(豊)▽暴投 中川(岐)▽捕逸 高橋(豊)▽ボーク 鈴木爽(豊)
宇治山田商(三重1位)
000400033=10
000300030=6
中京(岐阜3位)
▽三塁打 中瀬(宇)▽二塁打 泉(宇)山本陽(中)
日大三島(静岡2位)
000100300=4
00001402×=7
愛工大名電(愛知1位)
(日)関野、小川―市川
(愛)大泉―板倉
【宇治山田商10-6中京】
中京は相手打線の勢いを止められなかった。四回に4点を先制されたが、直後に山本陽の適時二塁打などで3得点。3失点した八回も3点を返すなど打線は粘りを見せた。投手は6人を投入。九回に5番手三浦が3失点し逃げ切られた。
【明日へ】
◆中京反撃及ばず 打線の粘り、来夏への収穫
「やるべき野球を相手にやられ、後手に回った」。中京の氏家雄亮監督が語った敗戦の弁。一度もリードを奪えず唇をかんだが、逆境でしぶとく食らいついた選手の姿勢に収穫も見いだした。「相手に流れを渡さず、勝利に対する執念は出ていた」と激戦を振り返った。
やすやすと主導権は譲らない。四回に4点を先制された直後の攻撃は、今夏も背番号5を背負った主将の三浦暖都から。四球を選ぶと、続く山本陽遥の適時二塁打で一気に生還した。「バントもあり得る場面で選手を信頼してくれた。ベンチも勢いよく流れに乗れた」と三浦。後続も2安打を放ち、すぐさま1点差に詰め寄った。3点を奪われた八回も同様に3点を取り返し、「自分たちの弱さ」と課題に挙げていた終盤に追い上げを見せた。
県3位から下克上を狙ったが、センバツ出場の目標は絶望的に。来夏に向け、多彩な投手陣が失点を抑えて先行する「やるべき野球」に磨きをかける。「打撃も守備もまだまだ。冬の間の練習で自信をつけて、やるべき野球を目指したい」と三浦。来夏に照準を切り替え、前を向いた。
【藤枝明誠6-3県岐阜商】
◆県岐阜商競り負け
県岐阜商は好機であと一本が出ず競り負けた。
二回に先制されたが、三回に寺前の適時三塁打で同点。四回を終え3-4と粘りを見せるも五、七回に1点ずつ奪われた。打線は六回以降は2併殺と好機で凡退。先発森は要所で踏ん張れなかった。
◆エース森、本調子遠く 「もっと成長する」
エースの本来の投球とはほど遠かった。県岐阜商の先発のマウンドには、前日の豊橋中央戦で134球を投じ完封したエースの森厳徳。「要所で球の切れ、スピードがなかった」と肩を落とした。
ブルペンから直球が走らず、変化球を中心に組み立てる投球で臨んだ。しかし、二回。警戒していた相手4番に直球を痛打され二塁打。四回の第2打席もスライダーを二塁打にされ、いずれも失点につながった。森は「勝負どころで甘くなってしまった」と嘆いた。
「森に次ぐ投手を育成できなかった」とは鍛治舎巧監督。県大会では先発した4試合で完投、豊橋中央戦も完封して成長を示したが、負担が大きかったのも事実だ。創部100周年を迎える来春のセンバツ出場はほぼ絶望的となったが、まだ夏がある。森は「完投していく中でいかに球数を減らすかが今後の課題。もっと成長したい」と言葉に決意を込めた。
【豊川13-3岐阜第一】
◆岐阜第一守備に乱れ
守備が乱れた岐阜第一がコールド負け。
一回に永安の適時打で先制したが、直後に逆転を許した。五回は4失策と守備が乱れ5安打で8失点。先発の鑓水は要所での制球が甘く、2回0/3を5失点(自責点5)と試合をつくれなかった。
◆五回に暗転一挙8失点
五回の守備の乱れが大きく響いた。4失策と拙守が重なり相手に流れを引き渡してしまうと、一挙8失点で五回コールド負け。岐阜1位校として余りにも意外な幕切れに田所孝二監督は「緩慢なプレーが多かった。ここで負けるということは実力が足りなかったということ」と敗戦を受け入れた。
勝負の分かれ目となってしまった五回の守備。悪送球や、正面のゴロをはじく内野手…。取れるアウトを確実に取れず、打者一巡の攻撃を許した。二塁手で2失策の上農奎人は「失策で流れが完全に向こうにいってしまった」と下を向いた。
四回終了時点では3-5で、一進一退の攻防だった。それだけに守備のミスが悔やまれる展開。「失策で負けてしまったようなもの」と上農。「夏にリベンジして甲子園に出るために徹底して守備を鍛えたい」と成長を誓った。