◆ひとり親や共働き家庭苦悩
「岐阜新聞デジタル クーポン」始めました!対象店舗はこちら「子どもを見てくれる人がいない」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が始まり、放課後児童クラブ(学童保育)を利用できない保護者から悲痛な声が上がっている。岐阜新聞「あなた発!トクダネ取材班」にも、学童保育を休業している大垣市在住者を中心に戸惑いの声が寄せられた。「ひとり親で仕事を休めない」「祖父母も働いていて頼れない」。事情は個々に異なり、それぞれに葛藤を抱えていた。
「今日は仕事を休んだ」。小学2年の長男がいる大垣市のシングルマザーの女性(27)が3日、あなトク取材班にメッセージを寄せた。同市では感染者が確認されたため、学童保育を2日から13日まで休業している。
女性は看護師。2日は長男を自宅に残して仕事に出たが、昼ごろ電話すると「変な音がする。怖いから早く帰ってきて」と声を震わせて訴えたため、上司や同僚に促されて早退した。
横浜市に住む両親は共に働いており「預かるのは難しい」と言われた。県内で暮らす別れた夫やその親にも協力を求めたが断られ、やむなく仕事を休んだ。
大垣市に問い合わせると、保護者間で互いに子どもを預かり合うよう提案されたが、長男には卵と小麦粉、牛乳のアレルギーがある。「ママ友から誘われたこともあったけど、向こうが不安だろうと思ってお願いできなかった」
学校から子どもの健康状態を尋ねるメールは届いたが、預け先に困っていないかは聞かれなかった。「どうしても見付けられない人を支える手だてを、行政は考えてほしい」と求める。
◆職場の理解なく休めない「助けて」
同市の介護職の女性(37)は2日から、小学5年の長男と2年の長女だけで留守番させている。土木職の夫は職場の理解が得られず、祖母も勤め先の介護施設で子育て中の母親が相次いで休んだため、頼めなかった。「もはやネグレクト(育児放棄)状態。普段から共働きで心細い思いをさせているのに。助けてほしい」と訴える。
こうした声は、学童保育を開いている自治体の住民からも寄せられている。学童保育の利用には原則、事前登録が必要で、休校で生じた急なニーズに対応できないケースもあるためだ。
加茂郡川辺町のパート女性(38)は3日、小学4年の子どもを連れて出勤。地元の学童保育施設は「低学年が優先」と断られた。子どもには注意欠陥多動性障害(ADHD)があり、大きな物音にパニックを起こすことがあるため、一人で留守番させるのは不安だった。「職場のみんなは気遣ってくれるけど、迷惑をかけていないか心配。臨時休校なんて、何の意味があるの」と嘆く。
県子育て支援課の担当者は「空きがあれば登録者以外でも受け入れるようお願いしているが、子どもを見る指導員の手配も追いついていない」と苦しい実情に理解を求める。
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