インタビューに答える出光興産の酒井則明社長

 出光興産の社長に今月就任した酒井則明氏(64)が25日までに共同通信のインタビューに応じ、脱炭素に向けた次世代エネルギー開発を進める方針を明らかにした。今後検討を本格化させる2026年度からの次期中期経営計画でも、次世代エネルギーは主要なテーマに据える考えだ。「既存エネルギーの安定供給と、新しいエネルギー開発の準備のバランスを意識する」と主張した。

 製造時に二酸化炭素(CO2)が発生しないアンモニアや、水素とCO2を原料とする合成燃料などで技術革新を図っている。一方で「電気自動車(EV)の普及が中国以外で鈍化したように、世界的に次世代エネルギーへの取り組みが減速している」と指摘。投資の規模やタイミングは「慎重に見極めたい」と述べるにとどめた。

 「安定供給を実現しながら、需要に見合うために生産拠点、精製能力をどうしていくのか考えを示していきたい」と話した。「精製能力を落としたり止めたりして終わりではない。次世代エネルギーの供給基地に置き換えることで地域への影響も抑えられる」と語った。