記者会見する東京都の小池百合子知事=25日午後、都庁

 東京都立墨田産院(閉院)で1958年の出生直後、他の新生児と取り違えられた江蔵智さん(67)が都に実親の調査などを求めた訴訟で、小池百合子都知事は25日、調査を命じた東京地裁判決について、控訴しないと明らかにした。「原告や関係者に多大なご心痛をおかけし、深くおわびを申し上げる」と謝罪、調査を実施すると述べた。江蔵さん側も控訴しない方針で判決が確定する。

 21日の判決で平井直也裁判長は、子の「出自を知る権利」は憲法13条が保障する法的利益だと指摘。「親子関係の根幹に関わる問題で、経過時間や生物学上の親の生存を問わず、出自を知る法的利益は失われない」とした。