カラー化した1945年撮影の写真について語る小川一夫さん=3月、川崎市

 太平洋戦争中の1945年4月、米軍による大規模爆撃があった川崎市の空襲の実態を伝えようと「川崎大空襲記録展」が市平和館で開かれている。戦災を今と地続きのことだと受け止めてもらえるよう、カラー化した写真を含む資料約150点を展示。関係者は「過去に触れ、現在や未来のために何ができるか考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 「今でも生きながら焼き殺される悲惨さが突然思い出され、身がすくむ思いに悩まされる」。3月8日に実施されたオープニングイベント。当時、市役所近くに住んでいて、14歳で空襲に遭った小川一夫さん(94)は、両親と姉と炎の中を逃げ回った記憶を振り返った。

 重化学工業が発展し、工場が多かった川崎市は空襲の目標となり、市役所周辺の中心部も焼け野原となった。4月15日にはB29爆撃機約200機が来襲する「川崎大空襲」があり、被災者は10万人超に上った。一連の空襲による人的被害は死者約千人、負傷者約1万5千人とされ、大半はこのときのものとみられている。

 記録展は5月6日まで。入場無料。