トランプ大統領=2月(ロイター=共同)
 米ロサンゼルス・リトルトーキョーの全米日系人博物館に展示されている、第2次世界大戦中の日系人強制収容所などで撮影された写真=2015年3月(共同)

 【ワシントン共同】トランプ米政権が進める博物館などへの助成金削減の影響で、第2次大戦中の日系人強制収容の歴史を教員に伝える研修が一時中止の危機に陥ったことが10日、分かった。危機を知った多くの個人から寄付が届き、今年分は実施できる見込み。研修を実施するロサンゼルスの全米日系人博物館の関係者が明らかにした。

 博物館のウィリアム・フジオカ理事長は9日の声明で、助成金削減は「多様性・公平性・包括性(DEI)への攻撃で、歴史を消し去ろうとする継続的な取り組みの一環だ」と批判した。

 実業家マスク氏が事実上率いる「政府効率化省」は博物館や図書館などの文化施設に資金を拠出する「全米人文科学基金(NEH)」への助成金の打ち切りを決定。日系人博物館はNEHから受け取る予定だった約2700万円を受け取れず、研修実施が危ぶまれたが、地元メディアが報道したことなどで多数の寄付が集まり、実現の見通しが立った。

 研修は2023年に始まり100人以上の教員が参加した。今夏は72人を招いて収容所跡を訪問し、元収容者から体験談を聞く予定。