USスチール本社に掲げられたロゴ=2010年4月、米ペンシルベニア州ピッツバーグ(AP=共同)

 【ニューヨーク共同】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画に反対していた米投資会社はアンコラ・ホールディングスは9日、USスチールに株主提案していた新たな取締役選任案の取り下げを発表した。トランプ政権が再審査を決めたことで買収計画が進展する可能性があることを理由としている。

 「常に株主が最良の結果を享受することを望んでいる」と強調し、USスチール株を1株当たり55ドル(約8100円)で取得するという日鉄の計画に、一転して好意的な見方を示した。

 買収計画を巡っては、トランプ大統領が7日、対米外国投資委員会(CFIUS)に計画の再審査を命じた。アンコラは声明で「日鉄とUSスチールは、買収を巡る懸念事項への対応や大幅な投資増額について、トランプ政権と建設的な対話を行うことに成功した可能性がある」と説明した。

 アンコラの保有するUSスチール株は1%未満とされ、日鉄の買収計画に反対する米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスとの関係も指摘されていた。