長崎県・壱岐島沖の医療搬送用ヘリコプターの事故で、ヘリ側の緊急事態宣言が確認されていないことが7日、国土交通省などへの取材で分かった。関係者によると、機長は海上保安庁の事情聴取に対し、事故時に「フロート」と呼ばれる浮具を膨らませるボタンを自ら押したと説明。海保は、海面に衝突する直前まで、危険な状況にあることを認識しておらず、緊急事態を宣言しなかった可能性もあるとみて調べる。
海保は7日、これまで片仮名で公表していた搭乗者6人の漢字表記を明らかにした。6日に死亡が確認されたのは患者本石ミツ子さん(86)。7日、新たに死亡を確認したのは付き添いの息子和吉さん(68)と医師荒川渓さん(34)。
海保は同日、機長ら生存者3人の事情聴取に着手。第7管区海上保安本部(北九州)の福本拓也本部長は記者会見で、機体が海上で上下逆さまになっており、現時点では「不時着なのか疑問がある」と述べ、墜落の可能性を指摘した。
機体はフロートと呼ばれる救命用の浮具を展開し、転覆した状態で見つかった。