「海辺の公民館」著者の千葉直美さん=3月、宮城県石巻市

 東日本大震災の津波で流失した宮城県気仙沼市の集会施設の再建を少女の視点で描いた児童書「海辺の公民館」が、このほど出版された。著者は宮城県石巻市の児童作家千葉直美さん(62)。山形県最上町との交流の実話を基に“故郷”への思いにも触れる。「人生の底でも、必ず誰かが手を差し伸べてくれる。人の輪は温かい」と話す。

 気仙沼市本吉町前浜地区にある「前浜マリンセンター」は震災から2年後の2013年、高台に住民主体で再建された。市によると、最上町の住民有志が贈ったスギとコブシの大木が大黒柱に使われている。

 義母の実家がセンターの近くにあった千葉さんは元々、祭りなどの行事の際によく通っていた。住民同士の結束の濃厚さを知るだけに、自宅よりも優先して再建に取り組む被災者の姿を見て「本当の復興への在り方が隠されているのではないかと思った」という。

 物語は福島で津波の被害に遭い、父の実家がある最上町に移り住んだ少女「よしみちゃん」が主人公。町の音楽会に来た宮城の人たちからセンターにまつわる逸話を聞く。